相続人でも相続ができない場合~相続欠格と廃除(3)

欠格廃除についての制度を
もう少し深く見ていきたいと思います。

前の記事では厳密な分析が必要となるケースとして
相続欠格として民法第891条第1号を挙げましたが、
実際にもっとも問題となりやすいのは
第5号のケースです。

つまり、
「相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、
変造し、破棄し、又は隠匿した者」
というケースです。

遺言は、被相続人が自由な意思で
財産処分を決めるものですので、
他の人が偽造・変造するなどができれば、
遺言制度は崩壊します。
そのため、相続欠格事由として挙げられています。

しかし、平成9年に最高裁で
重要な判例が出されました。
形式的にはこの条文に該当する行為をしたとしても、
相続欠格とはならないという判断です。

具体的な事案としては、
相続人が、被相続人作成の
遺言書の形式不備を直すという目的で
変造を加えてしまったという事案です。

このような場合について、
裁判所は、「相続人が…被相続人の遺言書を
破棄又は隠匿した場合において、
その行為が相続に関して
不当な利益を目的とするものでなかったとき」は
相続欠格に当たらないと判断しました。
(平成9年1月28日・最高裁判決)

遺言書を変造などしても、
その人がどのような目的を持っていたか
ということに着目するという
非常に踏み込んだ判断をしています。

それだけ遺言書の変造が疑われるなどして
トラブルとなることが多いということを
示していると言えます。

ただ、「目的が不当ではないかどうか」
ということは遺言書を変造してしまった人が
最終的には立証して裁判官を
納得させなければなりません。
その意味では難しい立証となると言えるでしょう。

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